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スイスの化学論文誌"Helvetica Chimica Acta"も英語論文ばかりになった

自然科学の研究で必要な外国語とは、やはり英語が第一番目に挙げられるだろう。

国際会議の公式言語は英語であり、自分が発表するだけではなく、他者の発表を理解したり、質問するにも英語能力を鍛える必要がある。

論文誌も、ヨーロッパの雑誌であっても、最近は英語ばかりになってきた。

すると今後日本では、第二外国語を勉強しない科学者が増えるので、ドイツ語翻訳者の需要が増えそうだ。

私は高校3年のとき、大学では有機化学を専攻することを考えていたので、その前からかじっていた中国語に加えて、NHKテレビ・ドイツ語講座で勉強を始めた。

実際に私の研究分野ではドイツ人が多く、読む論文の3割以上がドイツ語だった。
論文をドイツ語だけで出す人もいるので、最新の研究成果もドイツ語で読むことになった。
研究室での新着論文紹介セミナーでも、私は初回にドイツ語フルペーパーの解説をしてアピールした。

そして私は、「研究者になるには英語以外に少なくとももう一つの言語の知識が必要だ」 と発言し、「ドイツ語なんて英語に似ているから単語の意味だけ辞書で調べれば理解できる」 と言う人と対立した。

そんな中、1995年にドイツの伝統ある論文誌が、英語の原稿のみを受け付けることになり、つまり私の主張とは反対に、ドイツ語の地位がより低くなったことがショックだった。

それでもまだ、ドイツ語論文を受け付けている論文誌はあり、そこに投稿し続けたドイツ人もいる。

ドイツ語圏ということで、スイスの化学論文誌 "Helvetica Chimica Acta" もドイツ語論文が多かった。
現在でも、英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語の4ヶ国語で投稿を受け付けている。

しかし、2005年12号にドイツ語論文が1報出た後は、今月まで英語論文のみである。
21世紀になってからは、ドイツ語論文は年に1報あるかないかで、フランス語はもっと少ない。

ドイツ人は、哲学や科学の記述にはドイツ語が優れていると思っているが、他の研究者に論文を読んでもらい、そして引用してもらうには、英語の方がいいと感じている。

ヨーロッパのエリートは3-5ヶ国語を使えるので、英語一つに苦労する日本人を笑っているかもしれない。
それでも、自然科学でのアメリカ優位、英語優位の状況は変えられず、不本意だが英語を使うようになった。

また、EU諸国で就職するためには、最低2年間は外国でのポスドク経験が必要となる。
どこの国でも通用する言語として、英語を選択するのは自然なことかもしれない。

それでも私はひねくれ者なので、今後もドイツ語の必要性を訴えることにしている。
過去の文献や特許を読むには、どうしてもドイツ語の知識が必要だから。

他の人も、フランス語やロシア語など、自分の研究分野で使いそうな第二外国語を学んでほしい。

そうすれば大学・研究所には、英語以外の外国語を 知っている日本人研究者が何人かいることになり、翻訳会社に依頼する前に内容の確認ができるだろうし、留学生や招待講演者の対応もよくなるだろう。

テーマ : 英語
ジャンル : 学校・教育

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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