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4ヶ国語を勉強するドイツのギムナジウム:グローバル化に対応したエリート教育

EU・ヨーロッパ共同体は、多民族・多言語の集合体であり、加盟国が増えるごとに、言葉の問題は大きくなっている。

公用語を英語やフランス語などの数ヶ国語に絞る案もあったようだが、多様な社会を維持したまま、統合する道を選び、加盟国の公用語をすべて採用している。

それでなくても隣の国まで買い物に行ったりと、簡単に国境を越えて人が移動するので、それに移民も多いので、外国語知識を持つ人の割合は、日本よりも多いことになる。

ドイツ留学のときも研究室には、6ヶ国語を話す語学マニアもいたし、ルクセンブルク系アメリカ人は、4ヶ国語を話すことができた。


ゲストハウスのパーティーでも、6ヶ国語を話すオランダ人に会ったし、観光地や空港では、英独仏のどれかがわかれば、なんとかなるので便利かもしれない。

ドイツのギムナジウムでは、2外国語を身につけなければ卒業できず、つまり大学にも進めない。
日本と同様に、まず英語を選択する生徒は多いが、2つ目はフランス語やイタリア語など自由だ。

今ではラテン語を選択することは減ったが、それでもまだエリート好みの言語ではある。
アジア人をサルの一種として軽蔑するヨーロッパ白人は、わざと目の前でラテン語を話すこともある。

そんなドイツだが、外国語教育に力を入れて、4ヶ国語を勉強させるギムナジウムもあるという。
「英語+ヨーロッパ2ヶ国語+非ヨーロッパ1ヶ国語」  で、これにラテン語も加わる。
http://jetzt.sueddeutsche.de/texte/anzeigen/391226

それは、チューリンゲンの森の中にある、ザルツマン・ギムナジウムだ。
http://www.salzmannschule.de/

1784 年に、Christian Gotthilf Salzmann が設立した。
http://www.mdr.de/geschichte/personen/138959.html

学校HPの最初にあるように、6年ほど前から、「語学の特別ギムナジウム」 になっている。
とは言いながら、英語とフランス語のページは工事中ばかりなのは残念だ。

基礎教育が終わって、大学進学のためのギムナジウムを選ぶわけだが、このザルツマン・ギムナジウムに入学する と、最初の5年生から英語が始まる。
それに英語のみでの歴史授業は、他校では7年生から始めるのに、既に5年生で始めているそうだ。

英語の集中講義や、イングランドの姉妹校での語学研修もあるから、教師が英語だけを使っても、ドイツの学校なのに生徒は、(完璧ではないにしても) 理解できるようになるという。

入学1年後の6年生からは、なんと 「非ヨーロッパ言語」 を選択しなければならない。
それは、
「中国語・日本語・アラビア語」 から一つ選択する。

特に中国語がドイツではブームになっており、中国で仕事をする夢を持っている生徒もいる。
日本語は、やはり経済的な関係で注目されているようだ。

また、 ヨーロッパは中東が近くて、歴史的にも関係があるので、アラビア語が入っている。
アラビア語を選択すると、シリアで語学研修というのもあるそう だ。

8年生では 「フランス語・スペイン語・イタリア語・ロシア語」 から一つ、
9年生では、その4ヶ国語から更に一つを追加選択することになる。

文法的に近いスペイン語とイタリア語を選択して、楽をする生徒もいるわけだが、それでもドイツ語を含めて5ヶ国語を知っていることは、エリートとして競争に勝つために有利だ。

ここで、トルコ系移民が多いドイツなのに、トルコ語が入っていないのが気になるところだ。
記事の写真はギムナジウムとは無関係だが、花の説明にドイツ語とトルコ語を併記しているのに。
このあたりは、トルコをヨーロッパとして認めるかどうかの、潜在的意識が絡んでいるのかもしれない。

EU市民は、EU域内のどこでも仕 事ができるのだが、言葉の問題は必ず付随してくる。
ドイツの失業者対策でも、ドイツ語圏のオーストリアやスイスを勧めることがあるが、選択肢は狭くなる。
もし経済発展をしている国の言葉がわかれば、移住して仕事ができるので、生き残るチャンスは増える。

それにしてもドイツの14歳は、経済発展をしている中国に注目して中国語を勉強しているのに、日本人は英語こそが国際語だと信じ切っていて、英語の勉強にばかり傾注していて異常だと思う。

スーパー・イングリッシュ・ハイスクールを作ったり、小学校から英語を始めるのもかまわないが、多様な国際社会で日本が生き残るためにも、多言語に人材を分散しておくべきではないだろうか。

本来ならば日本でも高校では、最低2ヶ国語を勉強すべきだと思う。
北海道や新潟ではロシア語、九州では中国語・ハングルといった地域の特徴があってもいい。

大学入試が悪いと言ってしまえばおしまいだが、中学・高校の6年間を入試英語対策に費やすよりも、生徒が興味を持つ英語以外の外国語を、部活動ではなく授業として選択できるようにしてほしい。

私は漢詩に興味があったから高校2年から中国語も独学した。
それに化学者になりたかったから、高校3年からドイツ語も独学していた。
研究者になって実際に使うのは、英語とドイツ語だけになったが、漢字の意味の違いについて、中国人留学生と話すきっかけができただけでもよかった。

「英語が完璧でもないのに、どうして他の外国語を勉強するのか」 と質問した人もいたが、
そんなことを言ったら、完璧な日本語を習得するまで英語の勉強すらできないことになる。

これは自己満足かもしれな いが、知的好奇心を満たす何かに挑戦しているという意識が好きなのかも。

ドイツ人に負けないように、日本人も頑張ってほしいもの だ。

テーマ : 外国語学習
ジャンル : 学校・教育

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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