Bowhead Whaleの和名訂正を「英辞郎」編纂団体に申告
ロイター配信記事でのクジラの和名について疑問点があり、いろいろと調べてみた。
過去記事に追記したように、ロイターはこの和名の間違いを認めて、訂正版を配信した。
しかし、"bowhead whale"=「ホッキョククジラ」 を 「セミクジラ」 と間違えた記事は、既に多数のブログやニュースサイトで引用され、瞬時に流布されるネット社会の恐ろしさを実感した。
大半のブログは単に新着ニュースの紹介のみで、鯨肉販売店のHPでも引用されていた。
元記事の英語を確認することは少ないので、誤訳のままの記事が、半永久的に残ることになる。
IWCの記事でも、「ホッキョククジラ」 を 「セミクジラ」 と した日本語訳があった。
そのためか、「絶滅危惧種のセミクジラの捕鯨をアメリカは許可するのか」 という、怒りの記事もあった。
この誤訳を指摘する人は何人かいたが、正しくは 「ホッキョククジラ」 だと判明した後でも、「ホッキョククジラも絶滅危惧種だ」 と、ある資料を引用しての怒りは続いていた。
実際には、絶滅危惧種の定義は発表団体によって異なり、自然保護団体が発表したリストと、日本政府 (水産庁)や日本哺乳類学会が作成したリストとで、それぞれ扱いが違う。
この点については、「ネット上の情報を鵜のみにしてはいけない」 という観点で、様々な資料を比較している途中であり、後でまとめておきたい。
では、誤訳の話に戻ろう。
ロイタージャパンの説明では、翻訳作業ではオンライン辞書の 「英辞郎」 を主に使うとのことだ。
過去記事にあるように、そ の 「英辞郎」 の訳語が間違いであると、私がロイターに伝え、日本鯨類研究所に確認したところ、"bowhead whale"=「ホッキョククジラ」 であったそうだ。
そこで私は、「英辞郎」 を編纂している団体に対して、訳語の訂正を求めるメールを送った。
「英辞郎」 自体が翻訳者が参加して作成したデータベースなので、間違いに気づいた人の報告を受け付け、より信頼性を上げようとしている。
何日以内に訂正されるのか、後で確認しておこう。
「英辞郎」 は翻訳者が作ったデータベー スであり、専門用語の登録も多く、利用価値は高い。
たまに違和感のある訳語もあるが、完全な誤訳というのは今まで見たことがなかった。
例えば研究社の 「リーダーズ英和辞典 第1版」 では、 "bowhead" = "Greenland whale" と出ており、
そこで "Greenland whale" を調べると、「ホッキョククジラ」 と明記されている。
ところが "right whale" は、「a ホッキョククジラ (Greenland whale) b セミクジラ (southern right whale)」 と併記され、あいまいな語義説明である。
どの資料が正確なのか、非専門家が判断することは困難である。
「辞書は第2版を買え」 という助言の意味も実感した。
(追記:
リーダーズ英和辞典第2版を書店で立ち読みして確認した。
すると "right whale" については、「a セミクジラ b ホッキョククジラ」 と併記されたまま。
ただし順序が入れ替わっているので、主にセミクジラの意味で使うということなのか。)
また、辞書を買うときには、自分が知りたい単語をいくつか調べて、正しい訳語が掲載されているものを選ぶとよいそうだ。
そこでこれからは、"bowhead whale" と "right whale" を追加しておこう。
以前は "comes" = 「伴星」 があるかどうかで調べていた。
今回の事例で、複数の辞書・情報源を比較検討することの大切さを再確認した。
今後の翻訳作業でも、時間に追われることばかりだろうが、誤訳を避ける努力をしよう。
(最終チェック・修正日 2007年06月24日)
元記事の英語を確認することは少ないので、誤訳のままの記事が、半永久的に残ることになる。
IWCの記事でも、「ホッキョククジラ」 を 「セミクジラ」 と した日本語訳があった。
そのためか、「絶滅危惧種のセミクジラの捕鯨をアメリカは許可するのか」 という、怒りの記事もあった。
この誤訳を指摘する人は何人かいたが、正しくは 「ホッキョククジラ」 だと判明した後でも、「ホッキョククジラも絶滅危惧種だ」 と、ある資料を引用しての怒りは続いていた。
実際には、絶滅危惧種の定義は発表団体によって異なり、自然保護団体が発表したリストと、日本政府 (水産庁)や日本哺乳類学会が作成したリストとで、それぞれ扱いが違う。
この点については、「ネット上の情報を鵜のみにしてはいけない」 という観点で、様々な資料を比較している途中であり、後でまとめておきたい。
では、誤訳の話に戻ろう。
ロイタージャパンの説明では、翻訳作業ではオンライン辞書の 「英辞郎」 を主に使うとのことだ。
過去記事にあるように、そ の 「英辞郎」 の訳語が間違いであると、私がロイターに伝え、日本鯨類研究所に確認したところ、"bowhead whale"=「ホッキョククジラ」 であったそうだ。
そこで私は、「英辞郎」 を編纂している団体に対して、訳語の訂正を求めるメールを送った。
「英辞郎」 自体が翻訳者が参加して作成したデータベースなので、間違いに気づいた人の報告を受け付け、より信頼性を上げようとしている。
何日以内に訂正されるのか、後で確認しておこう。
「英辞郎」 は翻訳者が作ったデータベー スであり、専門用語の登録も多く、利用価値は高い。
たまに違和感のある訳語もあるが、完全な誤訳というのは今まで見たことがなかった。
例えば研究社の 「リーダーズ英和辞典 第1版」 では、 "bowhead" = "Greenland whale" と出ており、
そこで "Greenland whale" を調べると、「ホッキョククジラ」 と明記されている。
ところが "right whale" は、「a ホッキョククジラ (Greenland whale) b セミクジラ (southern right whale)」 と併記され、あいまいな語義説明である。
どの資料が正確なのか、非専門家が判断することは困難である。
「辞書は第2版を買え」 という助言の意味も実感した。
(追記:
リーダーズ英和辞典第2版を書店で立ち読みして確認した。
すると "right whale" については、「a セミクジラ b ホッキョククジラ」 と併記されたまま。
ただし順序が入れ替わっているので、主にセミクジラの意味で使うということなのか。)
また、辞書を買うときには、自分が知りたい単語をいくつか調べて、正しい訳語が掲載されているものを選ぶとよいそうだ。
そこでこれからは、"bowhead whale" と "right whale" を追加しておこう。
以前は "comes" = 「伴星」 があるかどうかで調べていた。
今回の事例で、複数の辞書・情報源を比較検討することの大切さを再確認した。
今後の翻訳作業でも、時間に追われることばかりだろうが、誤訳を避ける努力をしよう。
(最終チェック・修正日 2007年06月24日)